Vol:001 小林洋介×笹井BJ克彦

ゲストプロフィール
笹井BJ克彦
1976年生まれ。14歳でシンセサイザー、DTM、15歳よりEBを始める。PopsやJazz、Funkシーン(EB)の活動と並行し、
indigo jam unit結成(2005〜2016)、WBを本格的に始める。計15枚以上のアルバム発表。
活動9年目アルバムトータル10万枚以上セールス突破。Mike Stern、Eddy Hendersonなどの巨匠たちと共演。
サポートでは、Little Glee Monster / 加藤ミリヤ / CHEMISTRY / SHINee / 清水翔太 / 野宮真貴(PIZZICATO FIVE)/ 花*花 / Crystal Kay / 広沢タダシ / 黒沢薫 / Monday満ちる / 円広志 等。
レコーディングでは、コナミ「実況パワフルプロ野球」「プロ野球スピリッツ」シリーズ他収録。
他にジャズファンクセッションや、オンラインセッションを主宰し、オンライン環境でのレッスン等も勢力的に活動。
特徴は、図太い体が奏でるウネリまくるgroove、心の底まで揺さぶる圧倒的に野太いプレーを展開。格闘技〜お笑いまでこよなく愛す。

Calmeraに加入するきっかけとなり、小林洋介の音楽の礎になった恩師である笹井BJ克彦氏。indigo jam unitを経て活躍する恩師に聞く当時の秘話や苦悩。そして関西の伝説のセッションについて詳しく話を聞いた。

バンドの苦悩と秘話

小林 : お久しぶりです!今日はありがとうございます。お陰様で今年Calmeraが15周年を迎えることになりまして、Calmeraに加入するきっかけとなった笹井さんに、今回お話を聞かせて頂きたくお呼びしました。僕がCalmeraに加入してから12年が経ち、今もなおたくさんの苦悩があるのですが、当時笹井さんがindigo jam unitで活動していく中で苦労したことはありましたか?

笹井 : 26歳くらいの頃に本格始動し出したけど、実はその前からスタジオに入ってずっと曲を作ってて。リリースされてCDショップに行った当時、東京事変が2ndアルバムを発売したてで、自分たちのCDと一緒に並んでたのを覚えてる。毎年200セッションくらいやって、その中から10曲選んで練習してCDに収めてたね。しかも全部1発録りやから1音でもミスったら最初からやり直し。それの連続やったね。なかなかそれがうまくいかなくて、1日中レコーディングして1曲も録れなかったこともあったよ。1発録りが”売り”のバンドやったからバンドの威力はすごく強かった。

小林 : 僕も超絶テクニックバンドのイメージがすごく強かったです。

笹井 : 違う違う。超絶体育会系バンドやったよ(笑)

小林 : なるほど(笑) Calmeraではライブ終わりの打ち上げでは、凄く盛り上がって夜遅くまでになることがほとんどなのですが、indigo jam unitの皆さんはいかがでしたか?

笹井 : メンバー同士はすごく仲が良いけど打ち上げでは大人でしっぽりしてたな(笑) はしゃぐのは岡山の旅館ぐらいやったかな(笑) それで10年は続けようって約束の元、みんなで頑張った結果いろんな学びがあったよ。それこそ音楽以外のこともね。売り出し方とかそういった”大人”の仕事もたくさん学べたね。

大阪で今なお続く伝説のセッションイベント”関西JazzFunkSession”

笹井 : indigo jam unitの活動開始と同時にセッションを始めたね。実は東京でやってたセッションを軸にしてて。いろんなジャンルの人が集まってセッションイベントをして、オムニバスCDみたいなのを生み出したりしてたのよ。
それで、ブルースやジャズなんかのセッションのいろんな”壁”を取り払ったセッションをやりたくて。それが関西JazzFunkSessionなんよ。要は格闘技のプライドみたいな感じ。キックボクサーも来るし、柔術格闘家も来るしみたいな。ジャズの人もブルースの人もロックの人もみんな来る”異種格闘技場”みたいなのを作りたくてやり始めた。第三セクターみたいな感じかな(笑)

小林 : 僕もすごく衝撃だったのを覚えています。いろんなジャンルのプレイヤーやプロのミュージシャンの方がたくさん来てましたね。初めて行った時は緊張しつつも、意気込んで「俺はできるやつや!」「やってやる!」「誰にも負けない!」って自分に言い聞かせて手をあげて”Mercy, Mercy, Mercy”を吹いたのを覚えてます(笑)

笹井 : 「よっしゃやったるで!」ってすごい意気込んでるのに、えらい明るい曲やな(笑)

小林 : そうなんです(笑) 当時僕はペンタトニックスケールしか吹けなくて(苦笑)難しい曲は全然わからなかったんです(笑)
そこからもしばらくはそのスケールだけで戦ってましたね(笑)
Calmeraに入った当初もそのスケールしか分からなかったので、当時のレコーディングもペンタトニックスケールの解釈でしか吹けてなかったです(苦笑)

笹井 : けど最初はそんなもんじゃない?自分の知ってる言葉が一番の武器やからね。逆にそれを苦手とする人もいるし、スケールでしか責めれない人もいるからね。そういう人は逆にペンタのスケールがカッコよく聞こえなかったりするからね。そういうもんよ。

小林 : その関西JazzFunkSessionに行き始めたのは18歳の春ごろでしたが、当時の僕の印象はどうでしたか?自分でも今思えばクソ生意気な天狗野郎やったなって思います(笑)

笹井 : そんな時期が俺にもあったな(笑) 洋介の印象は当時と今で変わらへんな(笑) あの時から「なんやこの子?」とかじゃなくて、ずっと好青年な感じ。十何年経ってもその感じが変わらなくて、ずっと味が変わらない居酒屋みたいな感じ(笑) そのまな板いつまでくらい使ってんの?みたいな(笑) そういうブレなさあるよね(笑)
それと安藤康平(MELRAW/Sax)とのコンビ感が強かったよね。やっと同じ方向を向いた仲間をお互い見つけたんやなって感じで俺はすごく嬉しかった。お互いにすごく刺激を受け合ってるねんなーって思ったよ。

小林 : 僕も彼(MELRAW)との出会いは大きかったです。やっと青春が始まった感じ。僕は彼のお陰ですごく成長できたと思います。Calmeraに入ってバンドマンになってからもずっと尊敬してますし、今でもめちゃくちゃリスペクトしてます。

笹井 : バンドの色が違うかったとしても、根本の部分はMELRAWと同じやからお互いに切磋琢磨してたよね。

小林 : MELRAWと出会った当時は、彼の家に2泊3日とかで家に泊まりに行ったりしてましたね(笑) お互いに水曜どうでしょうが好きなので名古屋の水曜どうでしょうの聖地に遊びに行ったり、公園で二人で楽器吹いたりしてました。名古屋の大学に連れて行ってくれたりもしましたね。

笹井 : やっぱりあの場所(関西JazzFunkSessionが当時行われてた場所の大阪府高槻市のJK’s BIRDの3階)での最後のセッションの時にMELRAWもみんな東京から集まってくれたでしょ?それが答え。「あ、伝説できた」って思った。

小林 : その当時あの場所で集まってた人はみんな集まりましたね。橋本現輝くん(Dr)やNeighbors ComplainのKashや他にもたくさんの同年代のプレイヤーが集まりましたね。セッション開始と同時にテキーラのショットしてたので最後は訳わからなくなってましたけど(笑)それくらい楽しかったです。

笹井 : 俺ももう手をつけられなかったよ(笑) けど当時来てくれて熱いセッションをしてたメンバーは切磋琢磨してたから、今でも生き残ってるよね。あとあの当時コンテストにも出てたよね?

小林 : クリヤマコトさんのアドリブソロコンテストですね!たまたま見つけて、東京名古屋大阪の3箇所で行われて、入賞すると大阪はBillboard Live、名古屋はBLUE NOTEにそれぞれ出演できるコンテストでした。僕がMELRAWを誘って「俺が大阪で賞取るから、名古屋で賞取って!一緒に入賞しようぜ!」って言って、二人ともちゃんと入賞してそれぞれ出演しましたね。青春の1ページです。それがきっかけでAkikoさんとCalmeraのBillboard Live Osakaでのライブが決まったり、後々カルメラでBillboard Live Osakaでワンマンさせていただいたりとつながっていきました。

笹井 : その時にセッションに来てプロとの演奏を間近で経験してたから、他の人より怖さがなかったよね?耳が慣れてるというか。コンテストで入賞した時は誇らしかったよ。

小林 : ありがとうございます。本当にいろんな意味で鍛えられました。レベルの高いことひたすら経験できる場所でした。それでいてみんな優しくて、”誰も怪我しない”セッションでしたね。そしてCalmeraに入るきっかけにもなりました。

笹井 : そうやったね。当時ベースの生徒だった人が「カルメラやってくれるトランペットいませんか?」って聞かれて、思い当たる節は一件だけやなってなって、すぐに洋介に声かけたんよ。

小林 : すごく覚えてます。その話をしてた時近くにいてて、ドキドキしながら聴いてました。声をかけられた時はすごく嬉しかったですし、一回スタジオに遊びに行ってみたら?って背中を押してくださったのも嬉しかったです。

Calmeraを初めてみたときの印象

小林 : 笹井さんがCalmeraを生でみたのは香川県で行われたイベントの時でしたね。どんな印象でしたか?

笹井 : 乾杯しまくってたよね(笑) そんなに乾杯ってするもんかなって思ったね(笑) お客さんがかなり盛り上がってたね。あと乾杯タオル見た時はびっくりしたね。あれすごいね(笑) 懐かしいね。その時は西藤ヒロノブさんのバンドで行ってたね。

小林 : Calmeraメンバーのほとんどが笹井さんと初対面だったので、挨拶をしに行ったところ笹井さんの人柄に魅かれてたのをとても覚えてます。ベースのHIDEYANも笹井さんの演奏を見て衝撃や!と驚いてました。

笹井: いやいや衝撃なんはCalmeraの機材車やで(笑) メンバーも沢山いて機材も沢山あるのに、テトリスみたいに機材積んで吸い込まれるようにメンバーが車に乗って行ったのをよく思えてるよ(笑) みんな乗ったら車のタイヤがぺちゃんこになってたで(笑)