Vol:002 宮本敦 ✕ 三浦太郎(フレンズ,Taro Miura)
ムードメーカー
敦 : そんなフレンズの中で、太郎くんはよく”天然キャラ”っていうのを目にするけど、そうなの?(笑)
太郎 : いやー。(笑)絶対そういうことはないと思ってるんですけどね…(笑)
敦 : しかも最年長なんでしょう?
太郎 : そうなんですよ。もともとHO17の時にリーダーとして、12年くらいやってたんで。バンド引っ張ってきたし、いろんなことやってたし、なんならラジオ番組も持ってたし!(笑)
敦 : キャリアと自信はそれなりにあると。(笑)
太郎 : そうそう!あったんですけどね。でもフレンズになってからいきなりそういう風になってるので…(モゴモゴモゴ)。
敦 : いじられキャラのポジションってことやんね?(笑)
太郎 : そうなんですよ。「太郎さんはおもしろいわ~!」みたいなことを言われるんですけど、全然面白いこと言ってないのにと思いながら。
敦 : でも一番年上がいじられるという良さはあるのかも。そこをいじれる関係性がバンドにあるってことで。
太郎 : なるほど、確かに確かに。(笑) んー、でも考えてみたらずっといじられキャラだったのかもなって思う時もあるんですけどね。(笑)
敦 : 思い返せばそうなのね。(笑) 前のバンドの時はどうだったの?
太郎 : 天然とは言われなかったんですけど、抜けてるとか言われてましたね。具体的に思い出せないんですけど、例えばライブをブッキングした時のやりとりで、全バンドのセットリストを僕がまとめて送ったんですけど、バンド名を書いてなくて当日にどのバンドのセットリストか分からないってなったり。一番大事なところが抜けてるってよく言われます。
敦 : そうなんやね。(笑) でもめちゃくちゃ怒られることはないタイプでしょ?
太郎 : キャラで許されている部分はあると思います。(笑)
敦 : 一生懸命やってるのは分かってるから、周りも強くは怒れないのかもね。
太郎 : でも「いい加減にしてよ」って言われることは何回もあります。(笑)
敦 : 怒られてた。(笑)それはステージ上でもいじられるの?
太郎 : そうですね。MC中に「太郎さんなんか喋って」みたいな無茶振りが来て、そこで返した返事を「天然だ」って言われると、腑に落ちないですよね。
敦 : 無茶振りを返したのにそれでいじるなと。(笑)
太郎 : お客さんも、それを楽しみしてる感じもあって”この人またすべるな”って思っているだろうなって…。
敦 : ちょっと待って!その立ち位置は一緒かもしれない。(笑)僕も、お客さんに”この人どうすべるのかな?”って見られていると思う。
太郎 : 自分の中では全力投球なので、結構真面目なことを言うと「まじめじゃねぇか」って突っ込まれるんですよ。テレビとかラジオとかで「最後にリスナーの方へメッセージを!」って時に”はい、じゃぁ太郎くん”ってなって。
敦 : はいはい、あるあるだ。(笑)
太郎 : 期待されてるんだろうなと思いながらも、普通にいいこと言おうと思って答えたら、あとで「普通だったね。」って言われて。
敦 : そうなるよね。(笑) いい様に言うとムードメーカーだ。
太郎 : そうなんですか?(横に座っているフレンズスタッフさんにむけて)
フレンズスタッフさん : そうですね、和みますね。
敦 : それはもうバンドには一人必要な存在ですからね!
太郎 : だから、それを意図的にやりたいですよね。今こそ和ませる時だなって時に一言放てる人になりたい。
敦 : わかる!それで、そのつもりで狙って言ったら”今その空気じゃないよ”って時で、あとでめちゃ反省するんですけどね。
太郎 : (笑)
作品とライブアレンジ
敦 : 話は変わって、曲作りはどういう感じでやってるの?それぞれの作業分担とかはある?
太郎 : うちはみんなが作曲できるんで、常に曲のストックがあって。それをみんなで選んでいくって作業になりますね。アルバムを作る時も最初にテーマを決めて、その中で「この曲使えるよね。こんな曲足りないよね」とか、それぞれが作ってきて。そうやって、常に曲のストックは溜まっている状態です。
敦 : すごい尊敬するし、反省する。(笑)
太郎 : いいですよね。HO17の時は、作曲するのは一人だったので絞り出す時もあったんですけど、今はみんなが作れるのでクリエイティビティは高いと思います。
敦 : じゃあ、4人それぞれのキャラクターの違う曲のストックがあるってこと?
太郎 : そうですね。だから、その中で推し曲選ぶ時は大変なんですけど。みんな気ぃ遣いなんで、人の曲選びます。(笑)
敦 : わかる。(笑) でも客観的に見た時、お客さんが何を求めているのかとか、タイアップだったら作品がそのイメージに沿ったものなのかとか、悩み過ぎて誰かに決めて欲しくなるよね。
太郎 : わかります。決めてくださいっ!て思いますよね。メンバーでは数曲まで絞り切っても、最後は誰かにお願いしたいなってなる。(笑)
敦 : 曲や歌詞を書く時は…太郎君は歌詞も書くの?
太郎 : 僕が書く曲は仮歌詞って形で入れてます。タイアップがない曲とかだと自分の内なるものを出すっていう感じで。HO17の時は英語で歌ってたんで、リズム重視だったり韻の踏み方を意識してたんですけど、フレンズになってからは日本語の雰囲気を重視するというか。
敦 : 伝えられる言葉選びってこと?
太郎 : そうです。でも歌詞にあまり意味を持たせたくないというか見出さない方がいいと思っていて。余白多めの抽象的な言い回しでふわっとオブラートに包みたいんですよね。それでAメロBメロサビって並べて物語が完成するみたいな曲が作りたくて。難しいんですけどね。
敦 : それは歌い手えみそんちゃんを意識して書くの?
太郎 : 僕はわりと女目線か男目線かってテーマで詞を書くので、例えば僕が歌うところは男目線で、二人の掛け合いの時は男女混ざったものにしたら面白くなるんじゃないかとか考えたり。
敦 : 確かに、男女が歌ってるツインボーカル感がフレンズの良さでもあるね。
太郎 : それで、それをまたえみそんに投げて、ここの部分の歌詞書き直してみてとか提案しますね。
敦 : サウンド面に関してはどう?すごくポップで誰が聞いても馴染みのいいサウンド感の曲が多いと印象だけど、その中で”ギターをガーっとかき鳴らしたい!”みたいに思うことは?
太郎 : それがないんですよ。フレンズに入った時から、前のギタリストのフレーズのコピーから始まってるんで、自分には無かったフレーズがそこにあって。いまだにそれを追いかけている部分はありますね。ギターソロを任されたら”自分を出したい”って気持ちはありますけど、曲の中で”この部分はギターでいきたい!”っていうような気持ちはあまりないですね。
敦 : それは僕も似ているかも。ギタリストというよりは作曲する発想なのか、ここはそんなにギターが要らないとか気にしないというか。
太郎 : ちょっと前とかは、仮ギターは盛り盛りに入れて送って、そこから引き算で考えてますね。そしたらサビ弾いてなくない?ってなったり。(笑)
敦 : サビ弾かないって、ライブではどうしてるの?(笑)
太郎 : ライブは別のフレーズを考えてますね。レコーディングの時はとことん抜いたり、逆に3本入っていたりします。”ライブでどう再現するか”っていうのは、あまり考えないでレコーディングしてます。ライブでは同期(生演奏とPCの演奏データを同時に走らせること)で入れたり。ライブで新しくフレーズを考えることも多いですね
敦 : (笑) それは他のメンバーも同じスタンスで?
太郎 : 特にドラムとギターは、ライブでは再現出来ないことをレコーディングでやろうとしてる感じです。ほとんどの曲にライブアレンジが入ってます。
敦 : ライブセットの時の機材のこだわりとか訊いても良い?
太郎 : こだわりないんですよ。(笑) ほんとはマルチエフェクター一発でいいと思ってるんですけど。好きなギタリストの使ってる機材を買ってみようとかはあるけど、元々はアンプ一発歪みOK!手元のボリュームでなんとかできるのが理想。かましてもブースターだけみたいなタイプだったので。
敦 : うん、憧れのスタイル。
太郎 : でもフレンズになってそれ以上の音色を求められていると自覚しているけど、そこに対してストイックに突き詰めては、、ないんですよね。(笑)
敦 : (笑)
太郎 : フレンズの楽曲の中でのギターの立ち位置は考えて選んではいるんですけど。ライブでは歪みが…でも3種類くらいあるかな。
敦 : なんやかんやで結構使ってる。(笑)でもわかる!曲の雰囲気に合わせて歪み(音が割れる機材)変えてて、こっちはちょっとケバケバしてるけど、こっちはもう少しまあるい歪みみたいな感じで分けてるけど、周りには全然伝わってなかったり。(笑)
太郎 : そうなんですよ。(笑)
敦 : で、シンプルにマルチエフェクターでまとめたら「今日は抜けが悪いね」みたいなこと言われて悲しかったり。(笑)
太郎 : (笑)