Vol:003 HIDEYAN ✕ 猪狩秀平(HEY-SMITH)

猪狩秀平(HEY-SMITH)*HIDEYAN(Calmera)

数十年を経ての対バン…

猪狩 : すいません話それちゃいましたけど、今は音楽活動する上で出会う人はみんな優しいですからね。それで言うとカルメラのメンバーとかみんな優しいですもんね。

HIDEYAN : カルメラはまずリーダーのゴウシくんが優しいからね。バンド歴で言うと俺とか猪狩とかと同期くらいで、バンド歴だけでなくてローディとかも経験して沢山の世代の人と接しているからこそ人への接し方が分かるんかなって思うよね。10歳下くらいのメンバーでも気兼ねなく意見が言えたり、話ができる関係値が築けてるバンドになってるんじゃないかなって俺は思うよ。

猪狩 : ツアーの時の八王子Match Voxで打ち上げをして、俺らのバンドってメンバーが個別で仲良くなることはあるんですけど、全員が全員と喋るっていう打ち上げっていうのはHEY-SMITHでは珍しくて、印象残ってるんですよね。

HIDEYAN : ライブハウスの会場の真ん中にテーブルを置いて、みんなでピザ食べながら輪になって打ち上げやったよね。

猪狩 : 俺は普段管楽器が入ってるバンドと一緒になるときって、HEY-SMITHってスカバンドなのかも分からないし、音的にメタルとかパンクとかの要素も入ってるバンドで正統派じゃないし、Calmeraみたいにインストでやってるバンドとも全然違うから、どう思われてるんやろうって思うんですよね。あの日は自然に喋れたし、やってること全然違うのになんか分かりあえてる感じが良かったなって思いますね。

HIDEYAN : あの時にそんな事を思っていたのは今聞いてびっくりやね。俺らも当時同じような悩みがあって。本来ジャズやジャズのテイストを取り入れた楽曲がアルバムの殆どを占めていたんや
けど、ここ数年のアルバムではロックチューンぽいのが増えていったから、元々ジャズ、ロックをやってる人にはどう思われてるんだろうって一番思ってた時期じゃなかったかな。
ロックのことだけで言っても、ライブでやる時はサウンド感だけではなくて、ステージングとかどうしてもぎこちなくなったりするし…今思えば、あのタイミングでHEY-SMITHとライブができたことによって、以降のロックチューンの見せ方やサウンド感はHEY-SMITHから影響を受けて吸収できたかなって思うね。

猪狩 : 嬉しいですね。

HIDEYAN : あのライブの後にうちのつーじー(Calmera Sax)がステージングでめちゃくちゃ首振ってた時があって、ライブ終了後に首めっちゃ冷やしてるから「どしたん?」って聞いたら「この前かなすさん(HEY-SMITH Tb)の激しいステージングをみて、真似て首振りまくってみたんですけど」って…

猪狩 : (爆笑)いやいやあれ辞めといたほうがいいですよ。プレイヤー人生短くなるから(笑)

HIDEYAN : 管楽器の入ってるバンドの中でHEY-SMITHがここ最近で唯一じゃないのかな?メタルやロックなんかのテイストを入れて、歌もあってちゃんと結果だしてるのって。同じ管楽器が入ってるバンドでも、ジャズバンドって色んな音楽のテイストを入れても、なかなか元々あったカラーを払拭することって難しいなって今でも思うんだよね。

猪狩 : ジャズとかクラシックってロックより歴史が古いから、ジャズやったらこうでしょ?クラシックやったらこうでしょ?的なのあるじゃないですか?例えばロックテイストを混ぜた楽曲と純度の高いジャズを演奏するのって、どっちがCalmeraのお客さんには喜ばれたり求められるんで
すか?

HIDEYAN : うーんどうなんだろうね。個人的にどっちが求められているかちゃんと分かっていないんだけど(笑)Calmeraのロックテイスト、ジャズテイストの楽曲で比べるとちょっと難しいんだけど、ステージ上からだと、おとなしめな楽曲と激しい楽曲だったら激しいほうが盛り上がって見えるけど、ビルボードやブルーノート公演が終わった後にSNSで「この曲聴けた」ってジャズテイストの曲のこと言ってたりするのを見かけると、やっぱりそういうのも好きなんだなと改めて思うし。あまりそういう感覚でお客さんは選んでないのかもね。ちなみにお客さんの年齢層的には30代より上の世代が多いんだけど、みんなすごいパワーだなとライブの時に感心する。ちなみにHEY-SMITHのお客さんの年齢層は10代が多いのかな?

猪狩 : 最近だと10代だけじゃなくて大人も来ますよ。じいちゃんみたいな人もきますよ。

HIDEYAN : じいちゃん???(笑)

猪狩 : はい。「こいつ心臓止まるんちゃう??」的な人もきますね。(笑)あと最近だと家族で来てくれる人もいますね。小さいライブハウスだと難しいですけど、2階席があるホールとかだと、たまに家族だけで埋まったりすることもありますよ。終わった後の出待ちで子供から「猪狩さ~ん」って手紙をもらっちゃったりして

HIDEYAN : その時の顔みたいわ(笑)

猪狩 : (笑)そういうのがあると「やっぱ音楽ってええな~」って思いますね。正直子供全員が可愛いって感覚全くないんですよね。可愛い子は可愛いし、ムカつくやつは普通にムカつくし

HIDEYAN : そんな子いるんや….(笑)

猪狩 : いるんですよ。一生同じ話ばっかりしてるやついるし、けどそいつと音楽の話をすると普通に会話ができるんですよね。音楽を好きな気持ちって、あまり年齢関係なく変わらないじゃないですか。自分の為にばっかり音楽やってきたので、人の為に音楽やってきたっていう気持ちはないん
ですけど、こういう事があると意外と人も喜んでくれてるのかなって感じるようになってきましたね。

HIDEYAN : 年齢層が広がると色々と感じることは増えるよね。特定の年齢だけに向けてやってると伝わってるかどうかわからないことも、年齢層が広がると「あ!意外と伝わってる」みたいな…

猪狩 : こっちが考えてるより子供って純粋に音楽聞いてくれてるなって思いますね。

コロナ渦になってから…

HIDEYAN : 今配信ライブもやってないよね?コロナ渦になってからツアーもキャンセルしてたよね。

猪狩 : ツアーは全部キャンセルして、イベントは3回だけ出ました。1年間でライブ3本ですよ。

HIDEYAN : 配信ライブとかも全くやらないのは意思を貫くよね(笑)

猪狩 : いやいやコロナ渦に貫かされてるんですよ(笑)一番多い年で年間180本ですよ。それが3回って….

HIDEYAN : みんな待ってるやろうね。

猪狩 : 待ってて欲しいですけどね。

HIDEYAN : Calmeraは半年無いくらいで配信ライブのワンマンをやったけど、ちょっと緊張したもんね。お客さんも目の前にいないし、個人的には「何やってんねやろ」って我に返らないように意識するのも難しかったね。

猪狩 : その後も結構ライブをやってますよね?

HIDEYAN : ちょっとづつではあるけど、配信ライブや定められた人数のみお客さんを入れてやったりはしてるね。

猪狩 : その時のお客さんの反応とかってどんな感じなんですか?

HIDEYAN : 盛り上がるのは盛り上がるけど、やっぱりお客さん同士スペースが開いてるから自分が初心に戻るというか…お客さんがいない時の感覚に戻るというか…手応えは普段の2分の1というか

猪狩 : (笑)少ない時の硬いお客さんをどうやって動かそうか的な…

HIDEYAN : 盛り上がり的には多分盛り上がってるんやけど、マスクもしてるしリアクションもできないからね。そういう意味では盛り上がりは分かりくいし…倍の人が入っていたら絵は変わってくるんやろうけど、それでも難しいよね。俺ら規模で思うから、猪狩的にはもっと感じるやろ
うね。

猪狩 : 人間って今よりすごいものを見てるとそっちを求めちゃいますよね。以前の方がすごかったなって感じることもあるし、逆にやらないよりやったほうがいいやんって考え方もあるんだろうけど、なんせどうしても前のほうがいいなって思ってしまう自分が正直いるので….

HIDEYAN : となるとなかなかライブはできないよね。これが落ち着くのを待ってって感じよね

猪狩 : そんな時期でも動いてるCalmeraってすごいなと思いますけどね。

HIDEYAN : まぁ俺らはなかなか止まれないね。

猪狩 : すごいと思うわ..

HIDEYAN : 音源とかもやってないもんね。制作はしてるっていうのは前に聞いたけど…

猪狩 : 制作はしてますね。俺はほんまにこのコロナ渦で何かをリリースするとかっていうのは全くなくて、普通にできるようになったらやるし、そのスタートダッシュを切るために充電してるって感じですね。

HIDEYAN : それも一つの形だし、キレイな形であると個人的に思うね。特にHEY-SMITHは沢山ライブしてたからっていうのもあるかもね

猪狩 : あ~それはあるかもですね。今は強制的に精神と時の部屋に入れられた感じっすね(笑)

HIDEYAN : 出口どこやねん的な…

HIDEYAN & 猪狩 : (笑)

HIDEYAN : 今とか店も空いてないからご飯も外に食べに出ないもんね。

猪狩 : 今はバンドメンバーだけはたまに会いますけどね。友達とかも会ってないし…

HIDEYAN : 確かにね…メンバーですらなかなか会えないもんね。

猪狩 : 前まで週6でメンバーに会ってたんで…

HIDEYAN : すごいな。

猪狩 : こういう期間だから気をつけようなって話するじゃないですか?メンバーとはそこの意識を徹底してるからメンバーと会うのが一番安全になってくるんですよね。皆派手に遊んだりしてないんで…

HIDEYAN : こういう俺らみたいな職種の人の方が落ち着いてるよね。怖いもんね。

猪狩 : 気をつけてるでしょ~

HIDEYAN : 俺もバンドで都内まで行かないといけない仕事ができた時、都内に住んでいないから移動が電車で距離も長いからどうしようかなと考えていたんだけど、近所に住んでいるメンバーから「僕も怖いんで車で行きませんか?」って話
になって車で行ったもんね。こういう職種やからこそかなりシビアに気をつけてるもんね。

猪狩 : コロナが終息してからの活動って決まってるんですか?

HIDEYAN : 今流れてしまってるライブがあまりにも多いから振替公演もやるだろうし、リリースもあるしって感じで…

猪狩 : そうですよね。これってリリース関連のイベントで出るやつでしたっけ?

HIDEYAN : いや15周年っていうことでの企画なんだよね。自分と仲が良いとか繋がりが深い人と喋るっていう感じかな

猪狩 : 15年。あれ..てことは、俺と知り合ったのってもっと前ってこと?

HIDEYAN : どころじゃないよ(笑)今や業界に残ってる古い友人で言えば2位だよ(笑)

猪狩 : 1位はダイスケさんか..じゃダイスケさんが居なくなれば…(笑)

HIDEYAN : ちょやめて…最近ダイちゃんのSNSみて娘ちゃんとほのぼのしてるのに癒やされてるんやから(笑)

猪狩 : (笑)ライブやりたいっすね。PAN & HEY-SMITH & Calmeraの3マン

HIDEYAN : 俺得やな(笑)最高やな~むっちゃいい企画やん。考えとこ…

猪狩 : あ…15周年おめでとうございます。言うの忘れてた…

HIDEYAN : ありがとう。取り敢えずそれ上の方に載せとくわ(笑)

HIDEYAN & 猪狩 :(笑)

注釈
(*1) OVER SKA DRIVES 1999年結成。大阪発スカパンクバンド.メンバー最大11人。MIXUPRECORDを将番頭と共にレーベルとして主催し最大2000人を超えるライブイベント「MIX UPNIGHT」を主催をするなど活溌に活動していた。
(*2) Loco-Passion 大阪で活動していた8人組のSKAバンド (BMG JAPAN)2009年活動休止。
(*3) JUNGLE LIFE 音楽フリーペーパー。
(*4) ハジマザ HEY-SMITH主催フェス「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」の略