Vol:006 辻本美博 ✕ 雫(ポルカドットスティングレイ)

Vol:006 辻本美博 ✕ 雫(ポルカドットスティングレイ)

「私は天才とか言ってる場合じゃない!」若くして組織を背負うということを学んできた中でみつけた自身の存在意義

辻本: 僕的には雫さんのことを「組織のリーダー」としてもすげえなって思ったんですよね。

: ありがとうございます。

辻本: 各技能もあった上でスタッフさんたちにキチンと指示を出せる感じもそうですし、バンドをリードする人としてもメンバーさんそれぞれの特性を活かして無理をさせることなくうまくプロデュースもしているというか。

: そうですね。

辻本: 現場でもやっぱり雫さんがきたってなったらパリッとするというか。

: パリパリっすね。

辻本: でもネガティブな恐怖政治って感じじゃないから。

: でもじつはすぐ怒るから私。

辻本:(笑)

辻本: でもそのパリッと感って絶対要るじゃないですか。

: 要るっ!特にウチの男の子たち(ポルカメンバー)ってゆるふわボーイズなんで、パリッと要員で私がいるっていう。楽器ができるゆるふわボーイズ。

辻本: お客さんから見ても、雫さんかっこいい!男性メンバーかわいい!みたいな。

: そうそうそうそう。私には優しそうとか、かわいいとかないから、役割分担できていいかなって。

辻本: それは狙ってそうしてきた感じですか?

: そうですね。各メンバーの衣装のレギュレーションとかもしっかり決めて、着方とか振る舞いとかも結構細かく決めていますね。

辻本: リーダーとしてのお話のつもりがクリエイターとしてのところに話がかぶっていきますね!

: お客さんの前に出ているメンバーも「クリエイティブ」なんで。

辻本: そんな中で、ステージ上でも裏でも全てをコントロールしている事に加えて、「ちゃんと背負ってる」感があるのがリーダーとしてめっちゃかっこいいなと思って。

: ありがとうございます。

辻本: そこに僕もグッと惹きつけられたと言いますか。で、これも新R25を読んで知ったエピソードなのですが、ゲームクリエイター時代にご自身のプロジェクトで50人の社員を養わないといけない状況になったとか。

: 背負ってましたね。

辻本: その時点で今のようなパワーが既にあったのか、その時の経験を経て今のようになったのかが気になりますね。

: どうでしょうね。ゲームの会社に入った新卒の時は、元々あんまり前に出るタイプでもなかったし、天才だからひとりでも良いゲーム作れるしみたいに思ってたんですけど、ディレクターを任されるようになってチームプレーとはなんたるかとか、みんながいないと自分ひとりではゲームは作れないとか、仲間を大切にしつつちゃんとみんなの特性を把握して誰に何をやってもらうかをちゃんと私が管理して、みんなのパフォーマンスを最大化する役目が自分なんだ!という自分の存在意義を学んだんで。そこから「チームを率いる力」みたいなのが身についたのかもしれないです。

辻本: それが23歳の時ですよね?

: そうですね。23歳の時でしたね。22歳までは鼻水垂らして私まじ天才やしって言ってましたね(笑)

辻本: (笑)

: 23歳で劇的に変わって。自分のディレクター作品は開発ディレクターの後に引き続き、運営ディレクターもしないといけないから、次の作品を開発をしながら運営も毎日みていて、ユーザー数が毎日・毎時間変動していくのを見ながら、この施策を打った時は何人から何人に減ってるねとか、何曜日はこうだねとか、平均課金金額いくらぐらいだねとか、すごいシビアな現実を数字で突きつけられるから、私がこのスタッフをこういう動かし方にしたせいでその人が力を発揮できなくて機能の実装が遅れて今ユーザーが減っている、、、とか。

辻本: あ~なるほど。

: だから、私は天才とか言ってる場合じゃない!私はみんなのパフォーマンスを上げるためにいる人間!って。そこから私の指示で沢山の人が動いてくれているという意識とともに結果は全て自分の責任とも思うようになりましたね。

辻本: なるほど~。リーダーとして良いなと僕が思った、ちゃんと背負ってる感の基礎はそこにあったんだなと納得しました。

: そうですね~。自分はすごくないってことを学んだというか。若い時の世間知らずゆえの全能感ってあるじゃないですか?

辻本: はいはいはい。

: 私まじなんでもできるよみたいな。でも実際はなんにもできないということを早めに学ばせてもらって良かったなと。

辻本: でもそれを認めた上で、雫という人間ができることを客観的にみて全てのモノづくりをやって、そこにちゃんと親方として責任を背負ってる感じが、ひしひしと伝わってきて、辻本的には脱帽です。

: (笑)ありがとうございます!

「10年後は何をやってるかわからないですね」ポルカドットスティングレイ雫が見据える未来とメンバーへの想い

辻本: それでは結びに、、、雫さん、そしてポルカドットスティングレイの今後の展望を聞かせてもらいたいです!

: バンドとしてもっと売れていきたいというのはもちろんあるんですが、メンバーひとりひとりがプレイヤーとしてもっともっとお呼ばれするように大成して欲しいし、私も作曲家・プロデューサーとしても大成したいというのもありますね。そして、もっと具体的なお話で言うと、、、幕張もう一回抑えてるので頑張ります!

辻本: おーーー!!(拍手)

: これは言って良いのかわからないけど!(笑)

辻本: (笑)

: ちょっといつかはまだ言えないけど、幕張もう一回抑えてあります!これ、初めて言いました!

辻本: おー、まさかの初出し情報をありがとうございます!

: リベンジ幕張頑張ります!

辻本: すごーい(拍手)その上でさらに踏み込んでお聞きすると、、、基本は今後も音楽のフィールドでという感じですか?

: 5年後は音楽をやってると思うけど10年後は何をやってるかわからないですね。メンバーがそれぞれプレイヤーとして大成してくれていたら、私はまたゲームを作ってるかもしれないです(笑)

辻本: なるほどー!

: その時にやりたい事をやっていると思います。

辻本: なんらかのクリエイティブという。

: そうですね。と言いつつ、お客さんとメンバーがまだボーカルをやってって言ってくれている以上ははやると思いますが!

辻本: ここでも根底のニーズ至上主義が!

: そうですね!

辻本: 面白いお話をたくさんありがとうございました!雫さんとポルカのこれからを楽しみにしています!

: ありがとうございました!

インタビュー・テキスト: 辻本美博

撮影: AZUSA TAKADA