Vol:005 西崎ゴウシ伝説 ✕ 綾小路 翔(氣志團)
他のフェスとは一線を画する、ありえないメンツを集める続ける前代未聞のフェスは毎年5万人を動員し、今年は9月下旬に『氣志團万博2021』の開催を予定している。
Calmera結成15周年企画=各メンバーがゲストを招いての対談。西崎ゴウシ伝説の対談相手はなんと氣志團團長、綾小路 翔。
Calmeraのジャンルを「エンタメジャズ」と謳うゴウシが、「ライブパフォーマンスを魅せるバンド」として、多大な影響を受けている存在である。
また、バンドとしての共演などは、今のところまだないが、実は團長とゴウシは、同じジムに通っており、週に何度も顔を合わせる、筋トレ仲間でもある。
以下、ゴウシが、リスペクトする團長に、バンドを長く続けるコツやエンターテイメントへの考え方など、訊きたいことをすべてぶつけた。
選ばれし者たち
ゴウシ: 僕ら、今年結成15周年なんですけど、氣志團はもうすぐ25周年なんですよね。
翔: うん。来年結成25周年、今年はデビュー20周年です。
ゴウシ: 25年と聞くと「俺ら、あと10年やっていけるんかな……」って思ったりするんですけど。長く続けていけるコツってあるんですかね?
翔: いやあ、ひとえに俺の人間力だと──。
ゴウシ: (笑)。
翔: …と言いたいところなんだけど。まあ、ほんと、俺みたいな好き勝手言ってる人間を、メンバー達が見捨てずにいてくれたからかな……ロック界のおぎやはぎと言われてるんで(笑)。「綾小路がやりたいって言うんなら、やらせてやろう」っていうようなノリでいてくれてるので。そもそもは、最初のメンバー3人で、上京して来たはいいけど……自分の中では、「選ばれしこの3人が、遂に木更津から世の中を変えに来ました」って。でも、ソッコーでベースがやめて、帰ったんだよね。「あれ、俺たち全然選ばれてなかったじゃん」みたいなね。
ゴウシ: (笑)。
翔: Blankey Jet Cityがいて、ギターウルフがいて、eastern youthがいて、Hi-STANDARDがいます。5番目の3ピース・バンド、やって来ました! みたいな。最強の3人なんだ、この3人だったらなんとかなる、って思い込んでたから、3人が揃わなかったらやる意味がないと思っちゃって。2年間何もしないで、ボーッとサラリーマンやってて。
ゴウシ: あ、ガソリンスタンドで働いてたっていうのは勝手にバイトだと思ってましたが、就職していたってことですか?
翔: そう。会社の寮に住んでいて。そのあと会社をやめて、住むところがなくなって、おカネもなかったんで、歌舞伎町に行って……まあ、ちょっと良くない仕事をしていて──。
ゴウシ: はははは!
翔: でも、そこがちょっとヤバすぎて……このままじゃまずい、ここにいたら本当に悪い人になるな、と思って。それこそ『殺し屋1』のモデルになったようなマンションに当時住んでて。荷物が間違えて届いたから、その部屋に持って行ったら、ものすごい熱気が漂ってて。なんだろうと思ったら、ビデオデッキが何十台もブワーッと(笑)。
ゴウシ: ああ、ビデオのダビング。
翔: 発砲事件で機動隊が来て、自分の部屋に入れなくなったりとか。俺がそんな生活をしている時に、ドラムの(白鳥)雪之丞は5バンドぐらい掛け持ちしてて、ずっと全国ツアーを回ってたの。「あいつみたいになりたかったのに、何やってんだろう、俺」と思って。で、やっぱバンド組むぞ、東京都内に住んでる友達だったら、もう誰でもいい、と。地元の友達で東京に住んでるの、雪之丞を含め、数人いて。それが(早乙女)光くんと、後にやめちゃったんだけど、ラブちゃん(毒蝮愛)、その4人で始めて。正直言って、俺含め全員ザコキャラなの。
ゴウシ: はははは。
翔: 雪之丞はまだしも、あとの3人はまともに楽器も弾けないし。その2年間で、とにかくライブだけはよく観に行ってたから、「あの自信、なんだったんだ? 全然俺たちダメじゃないか」みたいに、完全に心が折れてて。
ゴウシ: 観に行ってたバンドと比べるとってことですね(笑)。
翔: かっこよくもないし、演奏もできないし、すげえ曲も閃かないし。バンド続けてもいいのかな、それともいいバンドを見つけてマネージャーとかやろうかな、って揺れてたんだけど……それでもやっぱりバンドを捨てきれなくて、始めようってなった時に、今まで抱えてた夢を、とりあえず一回下ろそうと。才能はないけど、何か一個だけでも負けないものを探そう、と思って考えた結果が、リーゼントと学ランなの。バイト先の人とか、「え、リーゼントで学ランでバンドやりだしたぞ、あいつ」って──。
ゴウシ: そこで学ランが登場するんですね!それまではどんなバンドを目指してたんですか?
翔: それまでは、オシャレしたバンドをやりたかったの、東京で。でも、よく考えたら、俺たちがイケてたのって、ツッパリやってた時だけだったもんな、東京でオシャレしたって勝てやしないからツッパリに戻ろう、みたいな。だから、人生で合計2年間しかオシャレできなかった。
ゴウシ: (笑)なるほど。
翔: でも、そしたら、まわりのみんなが興味を持ってくれて、ライブとか来るようになって。演奏も全然できないし、何やってるんだかわかんない、でもおもしろいじゃん、って言ってくれて。そいつらが「入れてくんない?」って入って来て、今の6人になったの。
ゴウシ: あ、松さんも、ランマさんも、トミーさんも──。
翔: うん。みんな、他で、もっといいバンドやってたんだけど、「なんかあいつら楽しそうだな」って。で、(東高円寺)ロサンゼルスクラブっていうスタジオでバイトしてたんで、誰かがいつも練習に入ってたし、あのまわりにみんな住んでたから。毎日一緒にいて、風呂がないから、みんなで毎日銭湯に行って、誰かの給料日にたかって呑んで。
で、当時の俺は……トミーがよく言うんだけど、「こんなに夢のない若者、初めて見た」って(笑)。デビューとか興味ない、俺たちは本物に憧れたけど、なれなかった人間なんだから、偽物のくせにイキってるバンドをつぶそう、それだけが目標、みたいな。
ゴウシ: はははは。
翔: みんな、それがおもしろかったみたいで。でも、やってるうちにメイジャー・デビューの話とかになっていったもんだから、メンバーが引いちゃって。みんな俺のネガティブさに染まって、アンチ・メジャーになっちゃってたから。だって、対バン、鳥肌実とかさ──。
ゴウシ: はははは!
翔: QP CRAZYとかとやってるのに。だから、初めてメンバーから文句が出たのが、その時。「デビューとか関係ないってあんなに言ってたのに、なんでメジャー行こうとか言い出してんの?」みたいな。そこで、もめたくないから……俺らみたいなのが商業音楽の世界に行って好き勝手やるってこと自体がおもしろいんだから、やってみようよ、って説得して。
で、そもそも音楽性は最初から全員違うんだから、それでぶつかるのはやめよう、と。あと、カネでもめるのもイヤだから、誰が曲を作ってもみんなで頭割りにしよう、作った人は多めにするけど、なんにもやってなくても分け合おう、っていうふうにして。
ゴウシ: あ、僕らもそれは似た感じですね。
翔: そっからというもの……ケンカはよくするんだけど、呑んでて。ほんとにどうでもいいことで。最近も、政治の話でつかみ合いになったりとかさ。
ゴウシ: つかみ合いレベルまでいくんですね。
翔: コロナ禍の前だけど、渋谷の居酒屋で松がトミーと襟首つかみ合いになって。ランマのソロ・ライブを観に行ったの。メンバーみんな来ちゃうのよ、示し合わせてもないのに。で、終わって、呑みに行って、松とトミーがくだらないことで小競り合いになって、シャツ、ビリビリに破けてさ。
ゴウシ: はははは。そんなに!?
翔: でも、ただつかみ合ってるだけでさ。「もう殴れよ!」って言いたくなる(笑)。で、夜中に渋谷のどまんなかで、あんな身長2メートルの男が、シャツが破けて上裸みたいになっちゃって。ほかの出演者の人に、トレーナーを借りて帰ったんだけど。でも翌日に、全員トミーにTシャツをプレゼントして(笑)。
ゴウシ: とにかく仲がいいって事ですねえ(笑)。僕、何回かランマさんと飲みに行ったことあるんですけど。僕らのバンドだと人数多いから、その時いないメンバーの話題で盛り上がると陰口みたいになりがちなんですけど、ランマさんの口から、そういう話をきいたこと、まったくなくて。「翔やんは本当にすごいんだよ」ばかりおっしゃってました!
翔: 俺はすっごい言うけどね、メンバーの文句(笑)。でも、そう、面と向かって言うのが逆によくて。後から入った3人は、最初、木更津組に対して驚いていて。その人の身体的特徴とか、むかついたこととか、目の前で平気でボロカスに言うし。普通、陰口は叩くけど本人には言わないじゃない? 俺たちは「そこは言っちゃいけないでしょ」みたいなことでも直接ボロカスに言うから(笑)。
ゴウシ: 昔からそうなんですか?
翔: うん、高校生の時に……木更津に『ダイナマイトどんどん』っていう、今も続く謎のイベントがあるんだけど、そこの先輩たちが全員そうなの。一応リーダーはいるけど、みんなその人のことを目の前でボロクソに言ったり、ひどいのよ。でも陰では言わない、それがすごくいい関係だな、と思って。
だから、うちはすげえ言うけど、タイミングが悪い時、「今じゃないな」っていう時は控える。次のタイミングで、おもしろく、みんなが大爆笑になるように言ったりとか。だから、今後も仲違いとかはないんだろうな、って感じはするんだけど。ただ、果たしてそれでいいのか?っていう面もあって。
ゴウシ: え、なんでですか?
翔: 仲良しすぎて、お互いがライバルじゃなくなっていて、すごいぬるま湯なのよ。36℃ぐらいのお湯に浸かってて、寒いからみんなで肩寄せ合って、あがろうにもあがれない、みたいな。ぬるま湯だから長くやってこれたんだけど、今から温度をちょっと熱くしたら、飛び出していく奴とか出るかもしれないし。
ゴウシ: 熱くしたい願望もあります?
翔: すごいある。今までも、何度も熱くしようとしたんだけど、そのたびに誰かが水で埋めてきたりとか(笑)。そういうのの繰り返しで、「このままほっとくと、ただのお爺ちゃんみたいになっていくぞ」って。俺もたまに「25年でやめるか」とか思うの。
ゴウシ: あ、辞めたいとか思うことあるんですか?
翔: あるよ。「メンバーみんな、氣志團以外の人生も、あるんじゃないのかな」とか。で、メンバーに「真剣に本当にやりたいこと、ないのか?」って訊いたら、「ない!」って。
ゴウシ: はははは。
翔: 「ない! 氣志團をやっていたいんです!」みたいなことを言うから。みんな、バンドを続けることは尊いんだ、と思ってるみたいで。俺はちょっと憧れてんだよね、もっとヒリヒリし合って、布袋と氷室みたいになりたい、とかね。だからこそあんな短い期間しかやれなかったけど、だからこそあんなに輝いてたんだな、って思うし。今もさ、どの人気グループも、仲良くないし。スタジアムクラスのバンドでメンバー全員仲良しなのはBUCK-TICKとGLAYだけだから(笑)。
ゴウシ: はははは! 断言するんですね(笑)。
翔: ねえ? あのクラスのでっかいバンドはどうしてもね(笑)。
インプットの大事さ
翔: どうなの? カルメラは。仲はいいの?
ゴウシ: 僕が一番年上で、今年の頭に入ったドラムが、いちばん下26なんですよ。
翔: おお、そうなんだ?
ゴウシ: 上と下で17歳ぐらい年齢差があって、その間を3歳ぐらいずつ埋めるように、メンバー8人いるのですが、年齢バラバラだからケンカとか、まったくないんですよ。その分、思ってることを言えてないんじゃないかな?って思う時もあるんですけど。まあ、そんな中で、それぞれの人生を選んで、やめていったメンバーもいますし。
翔: やめていった人は何人ぐらいいるの?
ゴウシ: 数えられないくらいいます(苦笑)。で活動していく中でメンバーが固まったなと思って2013年の頭に上京してきたんですけど。そこからも、ふたりやめちゃいましたけど。トータルでは、やめた人数の方が多いです(苦笑)。
翔: オリジナル・メンバーは何人いるの?
ゴウシ: 僕とギターの二人だけです。でも、上京して来たメンバーになったのが結成5年目ぐらいだったので、自分の感覚的には、その時のメンバーがオリジナルメンバーみたいな感じではいます。
翔: ああ、じゃあ結成10年だ(笑)。
ゴウシ: はい。その頃からバンドとしての自覚が出てきた感じなんです。それまでは、ウダウダやってたんで。
翔: ほかのバンドの話をきくと、ここから先は、たとえば結婚とか、出産とか、あと健康状態とか。そういう新たに加わってくる問題として……それでも音楽しか考えられねえ、っていう人と、家族ができて「ツアー行きたくない」って言い出すとか、そういう人も出てくるみたいで。あとは、雪之丞みたいに、演奏ができなくなって休むとか。
俺、今日、ここに来る前、『突然ですが占ってもいいですか?』の収録だったんだけど。占いの先生に、バンドがこれから存続していくために、不安なところは健康上の問題だって言われて 。「そうだよな、『永遠の16歳』って言ってるけど、世の中的には昭和に製造されたものだし」と思って(笑)。ガタが来てもおかしくないし、死が俺たちを分かつ可能性もあるし。
ゴウシ: 人間いつ死ぬか分かりませんもんね。
翔: バンドを続けていくために、まずは生活ができるかどうかだけど、次は健康だよね。ロックじゃないことを言ってるけど。フィジカルだけじゃなくてメンタルの健康も大事だし。バンドって意外と体力仕事だからね。
ゴウシ: そうですよね。
翔: そういう面では、身体を鍛えておかないとダメだよね。俺もついに、ツアー用ダンベルを購入したよ(笑)。
ゴウシ: あ、本当ですか。僕も腹筋ローラーを買いましたがツアーには持っていけてません(笑)。
翔: ほんと、ここから10年……俺たちの15周年の時って……2011年か。そうだ、あの時は、ちょっと間が空いていて、久しぶりに氣志團をやる時だったんだ。
ゴウシ: ああ、DJ OZMAの頃ですね。
翔: そう。氣志團しばらく休んでもう一回活動を始めたんだけど、やっぱり、前と同じところからのスタートじゃなくなっていて。それで、俺はかなりモヤモヤした時だったんだよね。「これ、どうしたもんかなあ」みたいな。ほんとにジタバタしまくってた時で。「もう辞めちゃいたいな」って時だったんだけど、あれから9年か。でも、そこからバンド自体はすごくよくなったので。
ゴウシ: ああ、そうなんですね。
翔: うん。だから、もがいてみるもんだな、っていうところはある。俺は、メンタル的にはめいっぱい落ち込んでる時で、「もう今すぐ投げ出したい」って、ちょっと思ってて。だけど、メンバーはみんなすごいやる気満々の頃でさ。メンバーの明るさ、っていうか、能天気さに救われたっていうか。
ほんとにこの10年は、まったく先が見えなくて、三歩進んで二歩下がる、いや、四歩下がっちゃったな、みたいな時もあったりしながらで。たまーに、一筋の光が見えた気がする時もあるんだけど、「あれ?……消えた」みたいな(笑)。15周年からの10年は俺はけっこうきつかったなあ。
ゴウシ: それもあって『氣志團万博』が、ワンマンライブからフェス・スタイルになったんですね。
翔: フェススタイルになったのは2012年からだから、今年が10回目かな。下向いててもキリないし、後ろを向いても崖っぷちだから、とにかくアホみたいに前へ進もう、みたいな感じでやり始めたの。その頃に、フェスとかもさ、あまり声がかからなくなったから。「じゃあ自分でやればいいんじゃん」みたいな。対バンツアーも、そうだし。
気持ちが、結成した頃に戻ったというか。結成当時は誰からも声かけられなかったし、友達バンドとかいなかったから。「じゃあ自分たちで企画すりゃいいじゃん」みたいな頃に戻ったんだなあ、って。それで、ジワジワジワジワやってたら、コロナでツアー全部飛んで、家にいなきゃいけなくなって。
ゴウシ: ああ、それで何か変わりました?
翔: そうだね。家でボケーッとしてたら……「なんであんなことで悩んでたんだろう?」とか。実際は、今の方がよっぽど不安なんだよ。収入も絶たれるわけだし、お仕事ないし。なんだけど、意外とプレッシャーとかストレスを感じてたんだな、人前に出るのが怖くなってたな、って気づいた。だから、去年いちばん会ってたのは、ゴウシとDAISHIくん(Psycho le Cému)だと思うけど──。
ゴウシ: そうですね、ジムで。
翔: チャリンコでジムまで行ってトレーニングしてみるとか、キャンプを始めてみるとか、それこそドラマを観たり音楽を聴いたりとか……「あ、このインプットがなかったんだな、ここ何年も」って思って。
ゴウシ: ああ、なるほど。すごく分かる気がします。
翔: ずっと音楽しかやってこなかったから。でも、どうでもいい趣味を作ったりとかしないと、意外と気づかないうちに、ストレスが溜まってるんだよね。
ゴウシ: インプットに関して言うと、僕自身も……たとえば、しょっちゅうライブ見に行って刺激を受けてた先輩が、どんどんやめていったりとか。
翔: うん、うん。
ゴウシ: 僕も誰かに刺激を受けていないと、前に進めないタイプでして。それこそ昔からドラマとか好きでよく観てたんですけど最近全然観れてなかった所に、翔さんとトレーニングするようになってから、「梨泰院クラス」「愛の不時着」などの韓国ドラマや『コブラ会』とかを勧めてもらって、観れば観るほど、一時期なくなりかけてた創作意欲が戻ってきたというか。音楽はずっと聴いてたんですけど、ドラマや映画みたり、本読んだりの音楽以外のことでのインプットも自分の創作につながってたんだなと気づいたんです。
翔: 刺激を受けると創作意欲が湧くっていうのは、ほんとそのとおりで。このコロナ禍だと、なかなかライブも行きづらいし。人とも会いづれえ、アイズレー・ブラザーズだし。
ゴウシ: (笑)はい。
翔: ごめんなさい、言いたかっただけ(笑)。だから、俺も早くやりたいのは、久しぶりに対バンツアーをやるはずだったのね。
ゴウシ: ああ、コロナ禍で中止が最近発表になったやつですね。
翔: 前に対バンツアーをやって、すごくバンドにとってよかったのが……フェスとかと違って、俺たちの仕切りだから、対バン相手のリハーサルも見るし、自分たちのも見せるし、打ち上げまで含めて……そこで、うちの引っ込み思案たちも、ライブをやり終わったあとだと、対バンのみんなと「あの楽器どうなの?」とか、盛り上がってしゃべってて。
で、向こうのバンドの人間関係も見えてきたり。そうすると、ステージ上では仲良しだけど、普段はドライな感じなんだな、とか知れたり(笑)。もちろんその真逆もあったり。あとは絶対的なリーダーがいて、誰から見ても一枚岩なんだけど、酒の席なもので、そこのメンバーの人がポロッと「ほんとは俺たちはこういうこともしたい…」ってこぼしてたりとか(笑)。
わかったことは、みんな何もかもが順風満帆なわけじゃないんだなってこと。どんな人気バンドも、若い人たちもベテランも、みんないろいろ抱えてて、何かを我慢していたり、何かで満ち足りてなかったりしていて。寧ろそこが深みや味わいとなって魅力を増していたりする。
その人間模様、バンド模様みたいなのを見ていて、「うちはうちでいいとこあんな」と思ったり、逆に「あそこのバンドのいいとこ、うちにないから取り入れようぜ」ってことになったり。だから、Calmeraも対バン、やろうね。
ゴウシ: ぜひお願いします! ほんとに。
翔: 再結成したJUN SKY WALKER(S)先輩と対バンした時の打ち上げで呼人さんにかけられた言葉が印象に残っていて。「結局、続けてる君らが偉いのよ。俺たちは一回やめたから。続けることがいちばんすごいことだから」って。君たちにしか辿り着けない、真のバンドマンとしてのゴールがあるはずだよと。そう言われて、またその気になって。「じゃあもうちょいやってみるか」みたいな。